アール・デコの至宝「旧朝香宮邸」

一人歩き探検旅

今日は、港区白金台にある東京都庭園美術館にやってきました。

ここは皇室の「朝香宮邸」があったところで、旧朝香宮邸として本館や茶室などが国指定重要文化財になっています。

国内最高峰のアール・デコ(art deco)の至宝なのです!(^^)!

周囲の庭園はいつでもぶらりと訪れることができるのですが、国重文の本館は展覧会開催中しか入館ができません。

詳しくは後ほど述べるとして、まずは朝香宮邸について勉強してみましょう。

旧朝香宮邸は港区白金台の台地上に位置し,朝香宮鳩彦王の住宅として昭和8年に竣工した。設計は宮内省内匠寮工務課,設計担当技師は権藤要吉で,主要室の内装設計をフランス人のアンリ・ラパンが担当した。本館は,鉄筋コンクリート造二階建,一部三階建である。外観は装飾を排した意匠としているが,内部はガラスのレリーフ,照明器具,壁画,彫刻などで装飾している。旧朝香宮邸の本館は,簡明な意匠の外観としながら,内部は当時最新のフランスの芸術作品を主要室に配し,濃密で洗練されたアール・デコ意匠でまとめられている。宮内省内匠寮による邸宅建築の頂点のひとつとして意匠的に優れており、価値が高い。邸宅を構成している建築群や庭園も併せて保存を図る。

国指定文化財等データベース (bunka.go.jp)

朝香宮邸とは

朝香宮家

1906年(明治39年)3月31日、久邇宮朝彦親王の第八王子である鳩彦王を初代として創設された。本来、宮家を継ぐ第一王子以外の男子は、爵位を賜って臣籍降下(皇籍離脱)することが多かったが、当時は明治天皇の直系の男系子孫が少なかったことから、将来的に皇位を継ぐ可能性をもっていた伏見宮系の宮家との血縁関係を近める意図で、明治天皇の第八皇女である允子内親王を王妃に迎え、新たに宮家を立てた。

1947年(昭和22年)10月14日、皇籍離脱。現在の旧宮家の祭祀継承者は、鳩彦王の孫にあたる3代・誠彦。

朝香宮 – Wikipedia

邸の略歴

  • 明治39年(1906) 朝香宮家設立
  • 大正10年(1921) 白金御料地を下賜される
  • 昭和04年(1929) 朝香宮鳩彦王が現在地に建設を準備
  • 昭和08年(1933) 本館が完成
  • 昭和22年(1947) 朝香宮鳩彦王が皇籍を離脱 吉田茂が総理大臣公邸として使用
  • 昭和25年(1950) 西武鉄道に700万円で払い下げ
  • 昭和30年(1955) 白金プリンス迎賓館を開業 国賓、公賓の迎賓館として使用
  • 昭和49年(1974) プリンスホテル本社として使用(迎賓館機能は赤坂に移動)
  • 昭和56年(1981) 東京都に139億円で売却
  • 昭和58年(1983) 都立美術館として一般公開
  • 平成05年(1993) 東京都の有形文化財に指定
  • 平成23年(2011) 改修工事のため長期休館に入る
  • 平成27年(2015) 国の重要文化財に指定
  • 平成30年(2018) 全面再開
  • 令和05年(2023) 開館40周年を迎える

戦後、西武グループが破竹の勢いで業績を伸ばしていた時代を象徴していますね。700万円で買って、東京都に139億円で売却したところなど、このあとはじまるバブル期を予感させます(^_-)-☆

戦後永らく、ごく一部の人々しか観ることができなかったため、「幻の建築」と揶揄されていたそうです。赤坂迎賓館ができてその役目を終え、一般公開されました。東京都の心意気ですね。

邸の魅力

重要文化財として国指定されている建物は以下の5つです。

  • 本館… 鉄筋コンクリート造、建築面積1,214.60㎡、二階建一部三階建、一部地下一階、煙突附属
  • 茶室… 木造、建築面積83.27㎡、桟瓦葺一部こけら葺
  • 倉庫… 鉄筋コンクリート造、建築面積118.30㎡、二階建
  • 自動車庫… 鉄筋コンクリート造、建築面積97.50㎡、洗場附属
  • 正門… 鉄筋コンクリート造、門柱間5.0m、東西脇門及び鉄製扉付、東西袖塀附属、東袖塀延長6.4m、西袖塀延長13.1m

玄関ポーチの狛犬以外ほとんど装飾がみられず、シンプルなので、あらっ、こんなものかとつい思ってしまいますが、内装には当時流行のアール・デコ様式の粋を尽くした瀟洒な建物になっています。

とにかく部屋がたくさんあり、その部屋ごとに魅力的な内装が施されています。まさに内装そのものが美術館なのです。

その中でも、管理人なりの見どころをいくつか推奨しておきましょう。

  • 正面玄関のガラスレリーフ扉と床一面の天然石のモザイク~玄関先なのでつい素通りしてしまうので注意
  • 大広間の大理石レリーフ
  • 次室内の香水塔とモザイクタイルの床~入場してすぐ目につく
  • 大食堂のシャンデリアと壁面レリーフ~フランス料理のフルコースは絶品だろう
  • 第一階段の重厚さ~これがアールデコの階段か!
  • 書斎のドーム型天井~ここで読書ができたら本望
  • 北側ベランダの天窓~北側でも陽があたる工夫
  • ウインターガーデンの温室機能~3階なので見逃さないように

アール・デコ様式とは

東京都庭園美術館のパンフに、簡潔に書かれていますので引用します。

1910年代から30年代にかけて、フランスを中心にヨーロッパを席巻した工芸・建築・絵画・ファッションなど全ての分野に波及した装飾様式の総称です。直線と立体の知的な構成と、幾何学的模様が特徴です。

東京都庭園美術館のパンフレット

そう言えばどこかで見たことのある風景だと思ったので、ちょっと管理人なりに、ネットで調べてみました。

ドラマ「名探偵ポアロ」は最近までBSで再放送されていましたが、ポアロの事務所兼自宅となったマンション「ホワイトヘイブンマンション」はアールデコ様式の建物です。内装も確かにそのようになっていましたね。

ポアロのドラマの設定は1930年代ですから、当時流行したこのアールデコのスタイルをふんだんに使って撮影されたものなんですね。このマンション、いまでも現存していて、「聖地巡礼」のスポットになっているそうです。

日本では、日本橋三越や、伊勢丹新宿本店、お茶の水の山の上ホテルなどがこの様式で建てられています。確かに1930年代の建築ですね。横浜の氷川丸の内装もアールデコだそうです。

見学についての注意

見学希望の際は、いくつか注意が必要です。

  • 庭園見学のみは廉価(大人200円)で入場できるが、本館内は展覧会価格で有料となる
  • 展覧会は当日券もあるようだが、予約(ネット)をすればスムーズなこと
  • 展覧会を開催しない時期には、定期的に本館の開放日をもうけているらしい(要問合せ)
  • 館内の写真(静止画)撮影は可だが、動画撮影はNG
  • 当然ながら内装、展示物には一切触れてはいけない

いずれも、東京都の公式サイトで詳細をご確認ください。

ちなみに今回の展覧会入館料は、一般1400円(65歳以上700円)です。

アクセス

JR目黒駅、地下鉄白金台駅からいずれも徒歩10分圏内です。

それでは、マイYouTube動画でご覧下さい。

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