神田川を辿る~柳橋から水門橋まで歩く

一人歩き探検旅

2023年の夏、神田川に架かるすべての橋を、最下流の柳橋(隅田川河口)から最上流の水門橋(井の頭池)まで、140の橋を経由しながら、川沿いを辿ってレポートしてきました。

すべての行程を、六日間で延べ87.7㎞/125260歩 (川の実際の長さは24.6㎞です)

一度もショートカットすることなく、完全制覇しました。

その模様は11回に分けて、YouTube動画にアップしています。ご興味のある方は下記にリンクを貼っていますのでどうぞご覧下さい。

完全制覇の神田川YouTube動画はコチラ

【神田川を辿る~①柳橋→昌平橋】はコチラ
https://youtu.be/hJ-qzmID6xQ
【神田川を辿る~②聖橋→小石川橋】はコチラ
https://youtu.be/nOiRFe6S5RY
【神田川を辿る~③船河原橋→江戸川橋】はコチラ
https://youtu.be/dmN-aV6CvHI
【神田川を辿る~④一休橋→高戸橋】はコチラ
https://youtu.be/VApeBlmT2OY
【神田川を辿る~⑤高田橋→せせらぎ橋】はコチラ
https://youtu.be/8LDM65q_kKw
【神田川を辿る~⑥久保前橋→淀橋】はコチラ
https://youtu.be/EsAJCceBWyQ
【神田川を辿る~⑦豊水橋→中野新橋】はコチラ
https://youtu.be/DCJ-LbC7AHM
【神田川を辿る~⑧氷川橋→向田橋】はコチラ
https://youtu.be/TiMniZDA_oo
【神田川を辿る~⑨たつみ橋→かんな橋】はコチラ
https://youtu.be/tK475c4I7Us
【神田川を辿る~⑩神田橋→佃橋】はコチラ
https://youtu.be/vvK98j6595k
【神田川を辿る~⑪あづま橋→水門橋】最終章はコチラ
https://youtu.be/6mTN0rG_MLA

イメージとしての神田川は…

「神田川」をネットで検索すると大概「かぐや姫♪」がトップで出てきますが、今日のテーマは正真正銘一級河川の神田川です。

もっとも、かぐや姫の神田川♪は、この一級河川の神田川をモデルに作られたものなので、関係なくはないのですが…。神田川と言うと、オジサンはついつい「小さな石鹸、カタカタ鳴った♪」と、口ずさんでしまいます。

さて、、、

東京都内を流れる神田川はすべて開渠(※)で、一級河川です。そして、すべて東京都内を流れています。都心を流れる河川で開渠は珍しいことらしいです。

※「開渠(かいきょ)」とは、地上部に造られた給排水を目的とする水路で、蓋や構造物で覆われていない状態のものを指します。地中に埋設された水路は「暗渠(あんきょ)」と言います。

次にイメージするのは、神田川と言えば「桜並木」ですよね。

御茶ノ水駅の下に流れる「茗渓」、通称「仙台掘」と言われる渓谷も有名です。

そして、氾濫する川

徳川家康が江戸に入府したころから、江戸城を中心として発展し、人口爆発を起こしました。その町に良質の上水を送り込むことは、江戸幕府の喫緊の課題でした。しかし、当時あった平川という河川は、満潮になると海水が溯上し、飲料には適さなかったそうです。

そんな時代、神田川の前身である神田上水は、その先駆けとして造られました。

その後、玉川上水やいくつかの上水道が造られましたが、いま残っているのは神田上水(神田川)と玉川上水だけらしいのです。

玉川上水レポートは別の動画にアップしています。コチラをどうぞ。

その神田上水ですが、下流に行くと江戸川と名を変え、最下流は神田川と呼ばれていました。中小の川を合流させ、人為的に流路を変えながら、今の呼称、「神田川」になったと言われています。

最近では地球温暖化による異常気象で、洪水被害がさらに懸念されるようです。それでなくても昔から神田川は氾濫する川として有名でしたから、

レポートしていると東京都の本気度が伝わってきます。

また、いまの神田川の流域には、江戸時代とは比較にならないほどの人々と、商業施設、構造物が集積しています。生活排水は制限されているとは思いますが、人がいればゴミも出る。臭いも発生する。

ドブ川にしないようにする努力も必要です。神田川の流れのほとんどは、人為的に浄化させた水であることも今回、学ぶことができました。

バブル経済時代に建設された首都高速が、一部の区間で神田川を覆っています。陽が当たらないので水は澱み、悪臭が漂います。高速下は一時期、浮浪者の生活空間になっていたようです(いまは撤去されているが)。

そんな悲しい現実もあります。

そんな神田川ですが、それぞれの地域ごとにいろいろな顔を見せてくれる魅力的な河川なのです。

なぜいま神田川なのか…

玉川上水を辿るシリーズで、最上流の羽村の堰(多摩川)から浅間橋(高井戸)まで、何日かかけて、開渠の区間を歩いて辿りました。

玉川上水シリーズのYouTube動画はコチラをクリック

そのとき、環境の保全や治水、水の大切さを痛切に感じました。

玉川上水の自然と景観を守るそれぞれの地域の方々、自治体の取り組みに感動しました。そんなわけで、次は大ものに挑戦、という流れになったわけです。

なぜいま神田川なのか???

世界的な取り組みであるSDGs(エスディージーズ)の中に、「環境を大切にする」という大きな目標が掲げられています。

「環境を大切にする」とは、地球環境、自然環境に配慮しながら、国や企業が、持続可能な社会を実現していくということなんですね。

私たち日本では、バブル経済の破綻後、永らく景気が低迷しています。

一方、景気の立て直しやデフレを解消する意図から、時の政府が低金利(またはゼロ金利)政策を10年以上続けてきました。おカネをジャブジャブと市場に注ぎ込んでいます。

私は数年前まで、金融機関で格付けの仕事をしてきました。だからこの実態が良くわかります。金融機関もジャブジャブ貸さないと破綻する。貸しても破綻する。イタチごっこの現実。

政策の議論は別の項に譲るとして、結果だけを見ると、街には超近代的な商業ビル、超高層マンションが、雨後のタケノコのように林立してしまいました。

企業は超低金利でおカネを借り、箱ものを造り、大規模開発を行って、内部留保を高めています。

個人では、持てる者と持てない者、つまり貧富の差はバブル期以上に大きく広がっていると言われます。

西新宿にある神田川の淀橋付近に最近、超高層ビル群が誕生しました。超高層の高級マンション群です。一見、人口的な緑地も見られますが、自然破壊につながってはいないか?

少子化が進むニッポンで、いったい誰が住むのでしょうか?

明治神宮外苑の再開発の是非が、取り沙汰されています。人工的でない自然をなぜ残せないか?

地球温暖化によるさまざまな事象も、今後もっともっと起きるでしょう。超高層マンションを建設する「ヒト・モノ・カネ」をそちらの対策に向ければ、どうでしょうか?

そんなことも考えながら、神田川を辿りました。

もっとも、楽しいから辿ったので、肩ひじ張らずに神田川の風景をご覧いただければ幸いです。

神田川を辿るシリーズの第一回YouTube動画は、コチラからどうぞ!!!

とっておきの写真をダイジェストで…

001柳橋~008昌平橋

柳橋は神田川の最下流に架かる橋。ここから上流に向け、長い歩き旅をスタートさせます。かつて周囲には花街があって、池波正太郎なども通い栄えました。すぐ右手が隅田川河口です。

万世橋のたもと、親柱の下にある遺構は、万世橋警察署の旧地下倉庫。橋を渡っているだけでは見逃してしまうスポットです。橋の反対側にも別の遺構があります。

昌平橋から望む、日本の鉄道橋の象徴的存在「神田川架道橋(橋梁)」。秋葉原電気街にも近く、ランドマークになっています。この橋梁は総武線を通しています。左手は中央線の高架下で、このレンガ積みも大切な産業遺産です。

【神田川を辿る~①柳橋→昌平橋】はコチラ

009聖橋~014小石川橋

聖橋からの眺望。撮り鉄の聖地と言われ、数々の鉄道が楽しめます。この辺りは人口の渓谷で、「茗渓」と呼ばれています。「仙台掘り」とも呼ばれるのは、仙台藩伊達政宗が開削したからです。

JR御茶ノ水駅です。現在、ホームの大規模増築中。下流に向けて進む運搬船も絵になりますね。

【神田川を辿る~②聖橋→小石川橋】はコチラ

015船河原橋~027江戸川橋

高度成長期時代の無神経遺産? 神田川を全面覆う首都高。このため陽が当たらず、澱んで悪臭が漂っています。

神田川沿いには居住空間が現れ、橋は生活道の様相に変わってきます。

写真のコメント通り。いたるところ、橋の親柱付近に設置されています。この近辺は洪水が多い地域だそうです。

【神田川を辿る~③船河原橋→江戸川橋】はコチラ

028一休橋~036高戸橋

駒塚橋からの眺め。江戸川橋を過ぎると右手一面は椿山荘です。一帯は公園が多く、緑が生い茂り、神田川とのコラボレーションもバッチリ。遊歩道は絶好の散歩コースなんです。

都電の早稲田停留所近くの豊橋です。桜の名所であり、川床の変化も楽しめる有名スポット。川沿いの遊歩道は左右にあり、絶好の散歩コース。

高戸橋横の橋梁を通る都電。この辺に「神田川♪」を作詞した喜多條忠氏の、若き日の「三畳一間の小さな下宿」があったと思われます。下宿から大正製薬の煙突が見えたということなので、写真の大正製薬がその根拠です。

【神田川を辿る~④一休橋→高戸橋】はコチラ

037高田橋~048せせらぎ橋

高田橋下の「高田馬場分水路」。これは妙正寺川(暗渠)からの水と、少し上流の新堀川辺りから迂回させる水と、落合水再生センターで下水処理された水が放水されています。

西武線とJRの高田馬場駅近くにある高架下です。ここは通称「高田馬場渓谷」と言って、高架橋の関係で川幅拡張ができず、洪水が多発する地域です。少し先の新堀橋近くから高田馬場分水路に水を迂回させているのはこのためです。

落合水再生センターです。ここで処理された水は神田川に流したり(高田馬場分水路)、西新宿などのビルのトイレ用水などに使われています。

【神田川を辿る~⑤高田橋→せせらぎ橋】はコチラ

049久保前橋~060淀橋

JR東中野駅近くの大東橋。日本閣発祥地の跡地に立つ高層マンション群。

末広橋近くの公園内に「神田川♪」の歌碑を見つけました。

淀橋付近に忽然とあらわれた超近代的ビル群。周辺の中小ビルや商店街、住宅地をごく最近、再開発したものです。空き地に桜も植樹されていますが、なんとも味気ない。いったい、どういう方が入居するんでしょうね。

と、やっかみ気分。

【神田川を辿る~⑥久保前橋→淀橋】はコチラ

061豊水橋~073中野新橋

淀橋から豊水橋へと歩を進めます。護岸は綺麗に、遊歩道も広く整備されています。

左右に遊歩道が整備され、とても歩きやすい。地域の方々の神田川とのかかわりを感じさせます。

【神田川を辿る~⑦豊水橋→中野新橋】はコチラ

074氷川橋~085向田橋

本郷橋は「洪水に強い河川にするための護岸工事と橋の架け替え」とあります。ひと言で護岸工事と言っても、ご覧のように川に蓋をして重機を通さないといけません。大変なことなんですね。

神田川シリーズ、最大級のスポットのひとつ、ここは善福寺川との合流地点。右手から善福寺川が合流してきます。

下流では見かけなかった鳥や魚が、川床に見られるようになります。写真はカルガモの親子。この先、上流で何度も同じ親子を見かけることになります。カルガモのほうが早い(笑)

【神田川を辿る~⑧氷川橋→向田橋】はコチラ

086たつみ橋~103かんな橋

方南橋のたもとに東京都の「神田川取水施設」があって、環状七号線の地下に造っている地下調節池に余分な水を送り込んでいるらしい。

下の写真は神田川からの入水口。水がゲートを越えると調節池に流れ込むシステムのようです。

ひとことで、スゴイ!

水は澱んでいますが、しっかり鯉も生きています。

永福橋を越えると、何やら大工事の様子。「下高井戸調節池工事」とあります。

公園の地下に調節池を増設して、洪水に備える工事のようです。先ほどの環七の調節池では、昨今の異常気象に対抗できないということなのでしょう。

すばらしい。。。

【神田川を辿る~⑨たつみ橋→かんな橋】はコチラ

104神田橋~119佃橋

杉並区に入り、左右に高級住宅地が広がる遊歩道を、颯爽と歩きます。

この梢(こずえ)橋、人道橋ですが、デザインが秀逸です。私的にはナンバーワン!!!

京王井の頭線近くの高井戸橋から望む。杉並清掃工場の煙突ですが、誘致当時は物議を醸したそうですが、いまでは高井戸のランドマークになっています。

佃橋のたもとに、勢いよく流れ込む水路を見つけました。

これは、玉川上水から導水している下水処理された水。神田川の清流対策として送り込んでいるとのこと。玉川上水とのつながりを見つけて、感慨深いものがあります。

【神田川を辿る~⑩神田橋→佃橋】はコチラ

120あずま橋~140水門橋(ゴール)

杉並区から三鷹市に入って、川床の様子が少しずつ変化していきます。

人口に造った漁礁だと思うのですが、生き物を大切にする思いが伝わります。

かなり、野性味が溢れてきました。ウナギも生息するかもしれませんね。

井の頭線三鷹台駅の少し先に、川床まで下りられる公園がありました。川床と井の頭線を同時に見ることができます。

いよいよゴールは近い。夕やけ橋のたもとは川床に下りて、流れも手にすることができます。

ゴールです。

実は、井の頭池の源流は、公園の末端、「お茶の水橋」まで行かないといけません。

この橋のたもとに、こんこんと湧き出る源流(湧水)がありました。

残念ながら、近年に周辺の開発で涸れてしまい、現在は動力で地下水をくみ上げているそうです。

【神田川を辿る~⑪あづま橋→水門橋】最終章はコチラ

まとめ

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

最下流からしばらくは、都会の喧騒とともに流れる神田川がありました。「茗渓」と言われるお茶の水の人口の渓谷は、人気スポットでもあり、見ごたえ、撮りごたえ十分でした。

水道橋を越えたあたりからは、ヤボな首都高の巨大屋根が神田川に蓋をしていました。周囲に悪臭が漂い、水も澱んでいました。

江戸川橋あたりからは、左右に遊歩道が整備され、緑も多く、快適な取材を楽しむことができました。

新宿周辺では、巨大なメガロポリスに圧倒され、考えさせるものがありました。

そして、いたるところで治水、洪水対策が、待ったなしの勢いで進んでいました。これで十分なのかはわかりませんが、東京都の本気度も伝わってきました。

上流に向かうと、川床に変化が現れました。江戸時代の神田川(神田上水)は、こんな感じだったのかと、少しだけ思えるところもありました。

さて、動画編では、主に「橋」にスポットを当ててレポートしています。このブログではお伝え出来なかったところは、ぜひ動画をご覧下さい。

神田川を辿る①のみ貼り付けます。あとは①のマイYouTube動画摘要欄からお入りください。

それでは、また。

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