加賀百万石の大邸宅、旧前田家本邸を訪ねる

一人歩き探検旅

先日、皇室の邸宅(旧朝香宮邸)を訪ねましたが、、、

今日は、駒場公園まで加賀百万石の殿様の邸宅、旧前田家本邸を訪ねます。国指定重要文化財です。

昭和のはじめの邸宅ですが、当時「東洋一の大邸宅」と世間で注目され、使用人も100人以上は居たそうです。やはり、加賀百万石のやることはスケールが違います(^_-)-☆

ガイドさんのお話だと、訪れる人は少ないそうです。なんと勿体ない。観るだけでも栄華を極めた百万石の殿様になった気分になります(^_-)-☆

まずは文化庁データベースの解説文をご覧下さい。

旧前田家本邸は、旧加賀藩主前田家の本邸である。16代当主の侯爵前田利為が大正15年に本郷から駒場への本邸移転を決定し、昭和4年に洋館、同5年に和館が竣工した。基本計画は塚本靖で、設計は洋館を高橋貞太郎、和館を佐々木岩次郎、茶室を木村清兵衛が担当した。洋館は、英国風の重厚な意匠でまとめられ、家政の諸室も取り込んで、洋館だけで日常の生活が完結する。留学や駐在武官としてヨーロッパでの生活が長い利為の希望を反映している。和館は、外国賓客に日本文化を伝える目的で建設された迎賓施設に特化した近代和風建築である。旧前田家本邸は、旧大名家が建設した和洋2館からなる住宅建築で、昭和初期における貴顕の生活像が表現された建物として高い価値が認められる。

国指定文化財等データベース (bunka.go.jp)

加賀前田家の江戸藩邸と言えば、いまの東京大学本郷キャンパスが思い浮かぶでしょう。本郷キャンパスのすべてが加賀藩邸ではなかったようですが、赤門(御守殿門)や三四郎池周辺はまさに加賀藩邸であったようです。

本郷周辺のレポートはマイYouTube動画、街道をゆく37~本郷界隈で紹介しています。東大キャンパス内の三四郎池などが登場しますので是非ご覧ください。

この本郷敷地内(現在の東大総合研究博物館周辺)に住んでいた前田家が、昭和のはじめに駒場に本邸を移し、本郷の邸宅は迎賓館にしたようです。残念ながら、その本郷の邸宅は空襲で焼けて今はありません。

旧前田家本邸について

本邸略歴

  • 大正15年(1926) …本郷の前田家と駒場の東京帝国大学の、土地建物等を等価交換
  • 昭和04年(1929) …洋館竣工
  • 昭和05年(1930) …和館竣工
  • 昭和17年(1942) …前田利為(前田家16代当主/陸軍大将)、ボルネオ方面軍最高司令官として戦死
  • 昭和19年(1944) …中島飛行機(航空機メーカー/スバルの前身)が、土地と和館等を買収し本社とする
  • 昭和20年(1945) …連合軍に接収
  • 昭和31年(1956) …土地建物は国ほかの所有となる
  • 昭和32年(1957) …連合軍の接収が解除
  • 昭和39年(1964) …土地と洋館を東京都が買収
  • 昭和50年(1975) …目黒区が管理
  • 平成25年(2013) …国指定重要文化財に指定され、名称を「旧前田家本邸」とする

16代当主である前田利為が戦死のあと、所有や管理が、連合軍、民間から国や都、目黒区へと変遷していった過程が良くわかりますね。

本邸の見どころ

国指定重要文化財に指定されている建造物は以下の通りです。

  • 洋館… 鉄筋コンクリート造、建築面積978.25㎡、二階建、地下一階、寄棟造、塔屋三所付、銅板葺
  • 和館… 木造、建築面積355.47㎡、二階建、宝形造及び入母屋造、桟瓦葺及び銅板葺
  • 洋館渡廊下(限定公開)… 鉄筋コンクリート造、建築面積40.45㎡、一階建、地下一階、切妻造及び宝形造、桟瓦葺
  • 和館渡廊下(限定公開)… 木造、建築面積21.91㎡、招造、桟瓦葺及び銅板葺
  • 茶室待合… 木造、建築面積6.23㎡、切妻造、銅板葺
  • 和館内及び塀… 和館門 一間薬医門、唐破風造、銅板葺 塀 木造、東方延長18.2m、西方延長32.7m、西面潜門付、桟瓦葺
  • 門衛所… 鉄筋コンクリート造、建築面積28.32㎡、寄棟造北端尖塔形、銅板葺、西方塀附属
  • 正門及び塀… 正門/鉄筋コンクリート造、門柱間6.2m、西方脇門付 塀/鉄筋コンクリート造、延長29.6m

洋館の設計は高橋貞太郎。関東大震災後であったため、鉄筋コンクリート造り三階建てとなりました。一階は晩餐会等の社交場、二階は家族の生活空間だったそうです。

外壁はスクラッチタイル(ギザギザのタイル)で、内部にはイタリア産の大理石やフランス、イギリスなどの内装品が施されています。

また、石川県小松市で産出される「大華石(たいかせき)」も外壁の装飾に使われています。南面の二階テラスにある一対の有翼ライオンは、同じ石で造られています。必見です。

洋館内の各部屋に置かれたマントルピース(暖炉の装飾)は、大理石やタイルなどがふんだんに使われ、意匠は斬新で、どれも美術品としても一級品です。

そのほか、見どころ満載ですので語り切れません。。。

少し小ぶりな和館ですが、当主の海外の賓客をもてなすために洋館のあとに追加で造られ、設計は佐々木岩次郎だそうです。書院造で違い棚や、欄間の透し彫など日本建築の粋を集めています。

アクセス

京王井の頭線駒場東大前駅下車ですぐですが、千代田線代々木上原駅駅からも徒歩13分です。

ここは駒場公園内にあるため、門が9時に開き、そのまま洋館、和館ともに同時刻に開館となります。こんなに早くから開館しているところはとても珍しいです。

  • 洋館は月と火曜日が定休日
  • 和館は月曜日が定休日

入館料が無料なのも、逆に申し訳なく思ってしまいます(^_-)-☆

ボランティアの方々による無料ガイドもありますから、現地に問合せしてみてください。

それではマイYouTube動画でご覧下さい。20分弱と長尺ですが、見ごたえ充分です。

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