東京の橋散歩~文明開化の遺構を訪ねて

一人歩き探検旅

今日は、東京に架かる橋の中で、国指定重要文化財になっている五つの橋を一日で完歩します。

その中でも、メジャーとは言えず、小さな公園にひっそりと架けられた橋があるのですが、管理人も初めて訪ねるので楽しみです。

それは、、、

現存する日本最古の「鉄橋」と言われる旧弾正橋です。現在の橋名は「八幡橋(はちまんばし)」と言います。

もともとは、中央区(現、楓川弾正橋公園付近)に架かっていた鉄橋なのですが、新しい橋ができたために、現在地の江東区富岡(富岡八幡宮の近く)に移設されたものなのです。

もちろん、国指定の重要文化財です。

橋や橋梁の国指定重要文化財は全国で19カ所しかありません(国宝はゼロ)ので、あまり聞き馴染みのない橋ですが、お江戸日本橋の「日本橋」と同等の評価がある貴重な橋なのです。

ちなみに、岩国の錦帯橋は地元の皆さんの熱意で、世界文化遺産への登録を目指しているようですが、実は国宝でも国指定重要文化財でもないのです。ハードルの高さが判るというものです。

※錦帯橋の名誉のため付言すると、錦帯橋は昭和25年の大型台風でほぼ完全に流失してしまいました。ですから現在のものは再建されたもの。このことが影響しているのかも知れません。

管理人は、すでにマイYouTubeやブログで紹介している通り、神田川玉川上水に架かる橋をすべて渡ってきましたので、ちょっと「橋」にはうるさいんです(笑)

恒例により、知識装備してからスタートしましょう。

橋のマメ知識

人が架けた最初の橋は、自然に倒れた木を利用した丸木橋であったり、川床に石をおいたくらいのものだったと思われます。

日本では、代表的なお江戸日本橋のように、木を組み合わせた橋が主流でしたが、江戸時代に海外から石造りのアーチ橋が伝わり、広く普及してきました。

そして、明治の文明開化とともに、鉄の橋の時代がやってくるわけですね。

東京の国指定重要文化財の橋

橋や橋梁の国指定重要文化財は全国で19カ所しかないということと、国宝もゼロだということはすでに記述しました。それでは一都四県(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城)内にはいくつあるでしょう?

正解は5カ所、いずれも東京都内です。

建設された年代順に並べると以下の通り。

  • 旧弾正橋(八幡橋)… 明治11年建築、鋳鉄と錬鉄による鉄橋
  • 日本橋… 明治44年建築、石造り二連アーチ橋
  • 永代橋… 大正15年建築、鋼鉄と鉄筋コンクリート造り
  • 清州橋… 昭和3年建築、鋼鉄と鉄筋コンクリート造り
  • 勝鬨橋… 昭和15年建築、鋼鉄と鉄筋コンクリート造り

ご覧の通り、旧弾正橋が歴史的にも構造上も、遺構として群を抜いて秀一であることがわかります。

旧弾正橋について

文化庁のデータベースの解説文を引用します。

もと、東京市京橋区(現東京都中央区)の楓川に架けられていたものであるが、昭和四年現在地に移されて八幡橋と呼ばれている。 工部省赤羽製作所の製造になる長さ一五・二mの道路橋で、単径間アーチ(タイドアーチ)の形式をとる。
アーチ部分鋳鉄、他は錬鉄からなり現在ではみられない珍らしい材の組み合わせ方をもっている。 東京に架けられた最初の鉄橋であって、日本の土木技術史上遺重な遺構である。

国指定文化財等データベース (bunka.go.jp)

Wikipediaを引用します。

橋の歴史

明治11年(1878年)11月に京橋区の楓川に、アメリカ人技師スクワイヤー・ウイップルの発明した形式を元に工部省赤羽分局により製作、架橋された。当時は橋幅は9.1m(5間)あったと記録に残る。架設経費は4058円。付近に島田弾正屋敷があったため、弾正橋と称された。当時、馬場先門から本所や深川を結ぶ主要路であったので、文明開化のシンボル的存在の鉄橋であった。しかし、大正2年(1912年)の市区改正事業により、北側に新しく弾正橋が架橋されたため、「元弾正橋」と改称され、さらに大正12年(1923年)の関東大震災後の震災復興計画によって廃橋となったが、その由緒を惜しんで現在地に移設。当時、橋下は八幡堀という河川であったが、後に埋め立てられ、現在のような人道陸橋となった。昭和52年(1977年)6月27日に国の重要文化財に指定、また平成元年(1989年)には日本ではじめて米国土木学会より「土木学会栄誉賞」が贈られた。

八幡橋 – Wikipedia

橋の構造

八幡橋(元弾正橋)は、アーチ材を鋳鉄製、引張材は錬鉄製という鋳錬混合の独特な構造手法で施工してあり、鋳鉄橋から錬鉄橋にいたる過渡期の鉄橋として近代橋梁史上においても、技術史上においても非常に価値の高い橋である。また、ピンの接合部に菊の紋形の花弁装飾が施されている。

八幡橋 – Wikipedia

鉄についての考察

人間が道具を操るようになって、石器→青銅→鉄器と移り、鉄器時代で人類の文明を築いたと言われています。そして、鉄製品を大量に作る時代、文明開化がやってきます。

また近年では、炭素をはじめとした含有物を添加することにより、さまざまな用途に使える鉄製品が生まれています。

鉄は大きく三つに分類されるようです。

  • 錬鉄(れんてつ)…  「いわゆる鉄」鋼鉄以前の古典的な製鉄方法でつくられた鉄で、炭素含有量が少ない(0.02%未満)
  • 鋼鉄(こうてつ)…  「いわゆるハガネ」炭素と鉄の合金(0.02-2.14%)で、強靭で加工性に優れる
  • 鋳鉄(ちゅうてつ)… 「いわゆるイガネ」炭素を2.1%以上含む鋳物(いもの)用の鉄で、強度が高い分、耐久性やしなやかさがない

既にマイブログでレポートした明治丸は錬鉄製、鉄腕アトムや鉄人28号はきっと鋼鉄製、南部鉄瓶は鋳鉄製、だと思います。

探検スタート

アクセス

旧弾正橋へは、東京メトロ東西線門前仲町駅下車すぐ(富岡八幡宮の近く)

探検コース

せっかくなので、東京駅丸の内の駅舎(国指定重要文化財)前からスタートします。いつもの通り、いっさい乗り物は使わず徒歩で辿ります!(^^)!

東京駅(丸の内側)→日本橋→楓川弾正橋公園→勝鬨橋→永代橋→旧弾正橋(八幡橋)→清州橋

今日は秋晴れの清々しい天気、マイYouTube動画でご覧下さい。

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